7月24日(御西小屋~大日岳~御西小屋~飯豊本山~切合小屋~三国小屋~小白布新道登山口=川入) 天候:晴
<第3行程、大日岳往復、そして飯豊本山、縦走終え飯豊鉱泉へ>

 私の隣にいた年配の夫婦から前日からのお誘いもあり、彼らの一声で目を覚まし、サブザックに雨具を着て出発した。だが出発して1分位してからカメラを忘れた事に気づき、慌てて戻ってカメラを取って再出発したため先行した夫婦に遅れを取ってしまった。3時半を回った位なのでまだ暗く、ヘッドライトを照らしながら行った。コースは結構草や笹が被っており、しかも朝だから露で濡れていた。雨具を着て正解だった。そうして思いっ切り進んだ。30分位して右手に文平ノ池と幕営地があったが、人はいない様だ。それを過ぎると大日岳がぐっと迫った。

ぐいぐい登り、4:50頃に飯豊連峰最高峰・大日岳の頂上に着いた。既に夜は明けていた。頂上から見える稜線と雲海・渓谷、朝の静けさが堪らない。頂上付近には先行していた年配の夫婦と新潟から来た男性と前日あの石転沢大雪渓を登ってきてこのひダイグラ尾根を下るという女性が既に来ていた。この日の大日岳頂上の先陣は私を入れて計5名となった。それが縁で5人で記念写真を撮った。そして一同5:30過ぎに小屋に戻るため出発した。頂上へ向かう第2陣はかなり遅れて出発したみたいだ。彼らとは小屋と頂上の中間近くで会ったからだ。

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 そして6:30過ぎに小屋へ戻った。水を汲み、朝食とした。前日の遅れもあり、これで出発時間が遅れると川入からの本日中のバス発車時刻に間に合わない。というのも磐梯山に登るのに川上温泉で民宿を予約していたのだ。結局管理人さんに無線でキャンセルをお願いしてもらう事になった。そのおかげで焦らずに下山できる様になった。それから管理人さんからスイカをいただいた。こんな所でスイカをいただけるなんて夢にも思わなかった。大日岳への道が笹がひどく迷いかねないと文句を言う者もあった。それと小屋には何と子供が1人いたのだった。3才の時に磐梯山に登り、小学1年で飯豊本山まで来たという8才の男の子だ。私と同じく川入に下るという中島さんとその子と五十嵐さんが私と一緒に下ってくれるといいう。その子は中島さんの息子さんだった。又、下山後に世話してくれるとも言っていた。

 

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 8:15に小屋を出発、私が近藤を名乗ると「勇」と呼ばれた。新撰組の局長「近藤勇」からである。中島さんは前日のお酒の酔いがまだ残り苦しそうだった。息子さんに「お父さん」と呼ばれながら歩く。南側の大きな雪田を過ぎるといよいよ本山への登りだ。中島さん達は本山には直接登らないので一旦別行動となる。9:30過ぎに飯豊本山の頂上に着いた。北股岳が望め、奥の方はガスがかかっているがあの長いダイグラ尾根が見渡せた。前々から憧れていた飯豊山の頂上にやっと立てたのだ!!!前年縦走で立った大雪山旭岳頂上の時の如く「ザック挙げ」を行った。

 

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あとは川入を目指して下るのだが、それがまた長いのだ。まずは小屋を目がけて出発、下っている途中中島さん達に追い着き、再び合流した。彼らは頂上を巻くコースを行ったのだ。頂上を出発して20分、10:30近くに飯豊本山小屋・飯豊山神社に着いた。ある人の話では飯豊の名前は飯が豊かに食べられる神様を祀っているから付いたという。神社は小屋の横にあった。しっかり鳥居もあり、何と神主さんもいらっしゃったのだ。神社ではお札やお守り・キーホルダー等が販売されていた。私はお守りと小さいひょうたんを買った。ひょうたんは口から覗くと「飯豊山神社参拝記念」と書いてあるのが見える。10:50近くに出発、今度は4人揃ってである。緩い下りを進んで行くと「御秘所」といういかにもそれらしい地形は狭く険しい尾根だ。それを過ぎると姥権という石仏があった。飯豊山はかつて女人禁制であり、その時代に女性が一人で登って石になったと伝えられるものだ。なかなか切合小屋が見えてこない。もうしばらくアップダウンがあるが、その後下りとなり、小屋と周りにテントが何張りか見えてきた。

 

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昼頃切合小屋に着き、昼食とした。この小屋は稜線上で唯一の食事付き小屋で、厨房で食器を洗う音が聞こえ、せわしなく働いている女性達の姿があった。正直申し訳ないがトイレの臭いが気になった。水は一杯出ているが、ホースで数100m引っ張っているせいか温かった。熊鈴が鳴らなくなったからどうもおかしいなと思ったら、何と鈴の中の玉が取れて落ちたのだ。中島さんの息子さんにも言われたし。五十嵐さんは何と(当時は)もう生産中止になったというホエーブス625(ガソリンストーブ)を出して点火したのだ。私の高校時代に使ったあの銅色のボディ、「ガー」と鳴る迫力のある燃焼時の音、懐かしい。そのホエーブスはお兄さんの形見だという。お兄さんは27歳の時交通事故でお亡くなりになったという。最後に小屋の前で記念写真を撮った。ちなみにその写真に写っている私の後ろにいる女性とは翌年夏に吾妻連峰の東大巓で再会した。又、切合小屋から東側からの道は大日杉小屋からのルートであり、山都口(川入)のルートよりも手軽に飯豊本山を目指せる上に小屋のご主人さんがタクシーを手配してくれたりと力が入っているという。

13:20過ぎに出発、今度は登りとなる。登り切った後10分程休憩とした。次の小屋までが長く感じるが、縦走完結のためにも頑張らなければならない。そして14:30過ぎに三国小屋に着いた。ここはアルバイトの管理人さんが1人いた。ここを出ればあとはひたすら下って川入を目指すばかりとなる。又、直進すると弥平四郎方面のルートとなる。14:50近くに出発、左手の川入方面へと進む。しばらく剣ヶ峰という両側共に険しくヤセ尾根で所によっては鎖場が所を進む。中島さんの息子さんはそんなに怖がっていなかった。さすがである。その難所を過ぎ、地蔵山を巻く道を進んだ。そして15:45に待望の冷たい水の出る水場に着いた。この水場はガイドブックにあるのは誤りだという。その水がまた旨かった。

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10分程度で出発、もう少し下ると横峰分岐があり、御沢小屋への道と私達が行く小白布新道とを分ける。小白布新道への下りには標識に水場数100mと書いてあり、そこをわざわざ下って水を取りに行った高校生パーティーがあった。小白布新道はこの時初めて知った。持っている地図やガイドブックには載っていなかったルートであった。そしていよいよ下る。ひたすら延々と下って行く。水場入口までが滅法長かった。分岐にあった水場の標識はおかしいと中島さん達は指摘した。よくあの高校生パーティーは取りに行ったものだ。感心する位だ。最後の水を中島さん達が取りに行ってくれた。私ももうフラフラ状態、水を飲んでラストスパートだ。車が見えた!あともう少しだ!!一気に下ると緩やかになり、3回程渡渉した。

17時を既に回り、ついに小白布新道登山口に着き、事実上縦走完結した!!!「オー!」ここでも例の「ザック挙げ」を行った。それから中島さんのワゴン車(マスターエースサーフ4WD)に乗り、林道を行った末に川入の集落に出て飯豊鉱泉に着いた。中島さん達が私のこの日の宿泊を取り計らってくれた所、結局予約なしで泊まれる事になった。早速部屋を案内してくれた。ザックは部屋の外に置く事になる。部屋にはテレビがないが、まずは落ち着ける。早速風呂に入ったが、民宿の小さい浴槽で1人で入れるのが2つあった。子供も入ってきてその子が言うには「かつては大きいのが一つだったがおじいちゃんが作り直した。前の方が良かったのに。」であった。

風呂から上がり、ちょっと経ってから夕食となった。大画面テレビのある1回の居間で、宿の関係者と一緒だった。家族一丸となった「家族的雰囲気」の宿だった。私は缶ビール1缶注文した。縦走の打ち上げか(?)、食事の後半小さい女の子が私の豆腐に指を突っ込むというハプニングが起きた。もちろん中島さんがしっかり叱りつけてくれた。それから代わりの豆腐を出してくれた。そういう事もこの宿ならではか。まさに子は親を見て育つ環境である。食事が終わってもまだ周りの人達と喋っていた。そのお話の中でもご主人さんであるおじいさんのお話が素晴らしかった。「切合小屋の水は温かった」と言ったら口を挟まれた。「切合小屋の水場の源泉は素晴らしい水だ。この水を小屋に引くのが大変だった。」と言い、「飯豊は東北のアルプスだ」と言っていた。縦走以外に何か学んだ様だった。又、翌日山に登るものには朝食と昼食分のおにぎりが渡されていた。

21時になり、居間から中島さんや五十嵐さん子供達がいなくなり、2人だけとなった。20代の地元の男性だが、彼が喜多方ラーメンのお話をしてくれた。「坂内食堂」はテレビに出ているので知っていたが、そこについては「まずい」であった。「テレビに出れば味が変わるものだ」と言い、そんなものかという事を感じさせられる言葉だった。そしてお薦めは「源来軒」だという。そこの案内図を書いてくれた。いい加減な時間となり、私も自分の部屋に戻った。部屋にはかまどうまがいた。北海道では見られない昆虫だ。すぐそこは山・川であり、川の流れと共にゆっくり休む事にした。

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コースタイム
3:38出発
御西小屋 慌てて出発してカメラを忘れて取りに戻った(左の時刻は再出発時)。ザックをデポして出発、ヘッドランプを点けながら大日岳を目指す。
4:49到着 大日岳 飯豊連峰最高峰。第1陣計5人となる。望める稜線と雲海・渓谷が見事。
5:37出発
6:37到着 御西小屋 戻って朝食。管理人さんに川上温泉の民宿をキャンセルをお願いした。管理人さんからスイカをいただいた。8才の子供もいた。
8:15出発
9:36到着 飯豊本山 ダイグラ尾根や北股岳が望めた。
10:08出発
10:28到着 飯豊本山小屋・飯豊山神社 小屋の横に神社があり、神主さんもいた。お守りと小さいひょうたんを買った。
10:48出発
12:24到着 切合小屋 連峰では珍しい食事付き小屋。昼食とした。五十嵐さんがホエーブス625を使っていた。
13:22出発
14:35到着 三国小屋 アルバイトの管理人さんがいた。剣ヶ峰はとにかく険しい。
14:49出発
15:45到着 地蔵山近くの水場 久々の冷たい水。
15:54出発
16:16到着 横峰分岐 ここから小白布新道に入る。
16:40到着 水場入口 最後の水場。車が見えラストスパートに。
16:53出発
17:20到着 小白布新道登山口 飯豊連峰縦走を終えた。中島さんのワゴン車で飯豊鉱泉へ。

 

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