日高山脈は南北約150kmの長さがあり、北は狩勝峠から始まり、襟裳岬まで続く。北海道の山若しくは全国の山の中でも最も原始的な自然が残る所の一つある。尾根はアルプス的景観で鋭角であり、沢も急で困難なものが多い。標高は最高峰の幌尻岳が標高2000mを越えているが、あとは1500前後~2000mであり中部アルプスと比べて1000m程度低いが、その分麓の標高も低い。縦走路は大雪とは違い整備されているとは言い難く、夏道は踏み跡程度であり、その大半がハイマツや低木のブッシュ漕ぎを強いられるものである。それ所か踏み跡さえない部分もあり、完全縦走するには積雪期でないと困難だろう。尚、襟裳岬をスタートする北海道縦断については志水哲也氏によって達成されている。

又、稜線までのアプローチはほとんど沢を詰めなければならない。それに登山口までの交通機関も届いておらず、バスの終点から更に林道をたどり何10km先にある事も珍しくない。マイカーやレンタカーを使う手も考えられるが、元々「足」のない山域だけに戻りが問題となる。複数の人数がいて車2台を回せるなら使えるだろう。タクシーが手っ取り早いが、割高になるのが欠点だ。現地で首尾良く相乗りできればラッキーだろう。何とかヒッチハイクできればいいが、もしできないなら林道を歩く覚悟が必要だろう。もしそうするならばそのために停滞同様の予備日が必要になってくるだろう。

高校時代に当時いた山岳部で一時幌尻岳に行く計画が持ち上がったが、結局幻となった。その内容は幌尻山荘を拠点に幌尻岳・戸蔦別岳を周って行くもので、一般的な幌尻岳周遊ルートである。だが後に日高山脈の稜線に踏み跡がある事がわかり、縦走できるのではと思った。大学に入り大雪の単独縦走と共に北日高の縦走の構想が立てられて行った。大雪の方は達成されていったが日高の方はなかなか達成できずにいた。それまでずっと憧れの山として。97年になり、当時は大学時代最後の縦走として夏休みに南アルプス全山縦走(台風で断念、翌年達成!)・屋久島宮ノ浦岳縦走、そしてこの北日高縦走を行う事とした。

今回の縦走は北日高の中でも幌尻岳~ピパイロ岳の区間であり、稜線の道は日高の中では割といい方である。とはいっても稜線には小屋はなく縦走するにはビバークを強いられ、水の確保もしなければならないものである。ガイドブックもコース概要しか紹介されておらず、未知数である。この様に交通機関や山小屋・登山道が未発達であり情報も少ない点は大雪や中部アルプスとは一線を画す。今回はそういう意味でも「原始への挑戦」であり、私にとって日高山脈縦走の第1歩となろう。芦別岳も前々から登りたかった山であり、大雪縦走の後にでも時間があれば登るつもりであった。今回縦走が終わった後に富良野へ向かい、登る事にした。